コノテガシワ(ヒノキ科)Thuja orientalis L.

 

 この木は20年程前に流行っていた。葉の形が独特で、春先に、目の覚めるような芽吹きが立てに並ぶと美しい。

 小さかった二人の娘達を連れて散歩をしている時に、よその家に植えられているのを見て、なんてきれいな木なのだろう、なんて面白い枝振りなんだろうと見とれた。いつか自分の家が持ったら絶対に植えようと思っていた。いろいろ観察をしていると、南に面していて北風を遮る玄関脇などに植えられたものが美しさを発揮している。

 念願の我家を持てたとき、門から玄関に導く通路に列植した。だが困った事に成長が良く、じょじょに通路側に迫り出してきてしまい雨の後など服が濡れてしまう。仕方なく摘んでは切り詰めるという処置で乗り切っていた。陽の差し込まない内部はどうしても枯れ込むので、秋にその枯れた葉を透いて落とすのだが、この作業は結構大変で、飛び散った枯れ葉をかぶって体中ちくちくする。

 ある年に、思い切って、生け垣のように先を切り詰めたことがある。だが、こうするとなんとも見苦しい姿になる。しかたなく、つまんではちょきんと見てくれの悪くならないような切り詰めを繰り返していた。しかし、これではしゃしゃりでてきた枝の位置はほとんどかわらない。

 今年の冬、我が庭の点検に来てくれた造園設計家の友人が「枝透かしをしなくっちゃ」とつぶやいたのだ。目から鱗が落ちて一年発起した。枝透かしは時間がかかる。まる二日掛かって5本全部を仕上げると軽トラック一杯ほどの切り枝の山ができた。

 先端を少しばかり残して、茶色の枝ぶりがはっきり見えるほどに。良い事をしたという自信はあったが、初めての経験だけに不安だった。芽吹くだろうか、枯れてしまうのだろうか。枝ばかりで冬の終わりを過ごす姿は寂し気で、脇を通る度に心配だった。

 だから、4月の声を聞く頃に茶色の茎から緑色の新芽がひょっこり見えた時には、小躍りして喜んだ。ひとつ、ふたつ、みっつ。あっあそこにも!赤ちゃんがぞくぞく芽生えてくるとわくわくした。

そして今では、新芽がいっぱいになり、茶色の茎がほとんど覆い尽されそうだ。[2000.9.18]

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 瞬く間にきれいにびっしり葉が生えそろった。[2003]